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データ分析記事 / 衆院選7回・参院選1回、無投票当選は一度もゼロ——「増加」報道の実態を検証

Data Journalism実データ由来(グループA)

衆院選7回・参院選1回、無投票当選は一度もゼロ——「増加」報道の実態を検証

衆院小選挙区・参院選挙区の実データで無投票当選(候補者数が定数以下)を数える。国政選挙では実は一度も起きていない——「無投票当選の増加」は地方選挙特有の現象であることが分かる。

「無投票当選」——候補者数が定数以下で、投票をせずに当選が決まる選挙区——は統一地方選挙のたびに「地方議会のなり手不足」として報じられる。では国政選挙ではどうか。このサイトが実データを持つ衆院小選挙区7回(2009〜2026年、延べ2,051選挙区)・参院選挙区1回(2022年、45選挙区)すべてを対象に、候補者数を実際に数えて確認した。

結論を先に書く。このサイトが実データを持つ国政選挙の範囲では、無投票当選は一度も起きていない。「増えているか」という問いに対する誠実な答えは「そもそも国政選挙では発生していないので、増加も減少も観測できない」であり、無理に増加傾向を作ることはしない。

衆院小選挙区:7回・2,051選挙区で無投票はゼロ

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衆院小選挙区 無投票当選数

2009〜2026年 延べ2,051選挙区

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参院選挙区 無投票当選数(2022年)

45選挙区中、最少候補者数4人

8回

対象サイクル数

衆院7回+参院1回

衆院小選挙区は2009年(第45回、300区)から2026年(第51回、289区)まで7回すべてで、候補者数が1人以下(=無投票)の選挙区は存在しない。参院選挙区で実際の定数(何人区か)まで確認できる2022年(第26回、45選挙区)も同様に、最も候補者が少ない選挙区でも4人が立候補しており、無投票の選挙区はゼロだった。

「最も無投票に近かった」実例まで具体的に見ておく。2022年参院選で候補者数が最少(4人)だったのは青森県選挙区・新潟県選挙区・山梨県選挙区の3選挙区(いずれも改選定数1)。例えば青森県選挙区ではたなぶまさよ氏(立憲民主党、277,009票)と斉藤なおひと氏(自由民主党、216,265票)が事実上の一騎打ちを演じ、さらに2人の候補が続いた——定数1に対して4人。無投票(候補者1人)まではまだ距離があり、国政選挙の「なり手」は最も薄い選挙区でも複数確保されていることが分かる。

ゼロではあるが、「ギリギリ2人」の選挙区は増えた時期がある

無投票そのものは起きていないが、隣接する現象として「候補者がちょうど2人だけ(実質的な一騎打ち)」の選挙区の割合を見ると、時期による変動がある。最も高かったのは2021年(34.6%、289区中100区)で、2009年の1.7%から着実に上昇し、2021年にピークをつけた後、2024年にはいったん10.0%まで下がり、2026年に13.8%へと再び上昇している——一本調子の増加ではなく、山と谷を伴う推移だ。

0%9%18%27%36%2009201220142017202120242026候補者2人のみ / 2009: 2%候補者2人のみ / 2012: 2%候補者2人のみ / 2014: 11%候補者2人のみ / 2017: 15%候補者2人のみ / 2021: 35%候補者2人のみ / 2024: 10%候補者2人のみ / 2026: 14%候補者2人のみ
データを表で見る
2009201220142017202120242026
候補者2人のみ2%2%11%15%35%10%14%

「候補者2人だけ」の選挙区が退屈な出来レースかというと、実データはむしろ逆を示す。ピークの2021年の一騎打ち100区のうち、最も接戦だったのは佐賀県1——原口一博氏(立憲民主党92,452票)が岩田かずちか氏(自由民主党92,319票)を0.1ポイント差で下した一戦で、新潟県4区(菊田まきこ氏 vs 国定勇人氏、0.1pt差)がそれに続く。2026年も一騎打ち40区の最小差は北海道10区の0.01ポイント(神谷ひろし氏 vs わたなべ孝一氏)——候補者数の少なさは、選択肢の少なさではあっても勝負の緩さを意味していない。

「候補者2人」は無投票(候補者1人以下)とは別の現象だ。あくまで隣接指標として示しているだけで、無投票当選そのものが増えているという主張ではない。

では「無投票当選が増えている」という話は何のことか——地方選挙

「無投票当選が増えている」という報道は、実際には統一地方選挙(都道府県議会・市区町村議会)についてのものだ。2023年統一地方選挙(総務省発表資料・報道ベース、このサイトが集計した一次データではなく引用): 41道府県議選の無投票当選率25.0%(2019年26.9%に次ぎ過去2番目)。町村議会議員選挙は無投票当選率30.3%で統一選史上最高。

出典(このサイトの一次データではなく引用):総務省 第20回統一地方選挙 発表資料、東京新聞 2023年4月10日社説「無投票当選増加 町村の自治が危機だ」

国政選挙(衆院小選挙区・参院選挙区)と地方選挙(都道府県・市区町村議会)では候補者の出やすさを左右する構造が大きく異なる——国政選挙は政党の公認・組織的な擁立があるため候補者が集まりやすいが、地方議会(特に町村議会)は「なり手不足」が実際に候補者数そのものを直撃しやすい。同じ「無投票当選」という言葉でも、国政選挙と地方選挙とでは全く別の現象を指していることが、実データと報道の突き合わせから分かる。

まとめ:「増加」ではなく「そもそも起きていない」という、地味だが正直な結論

派手な「増加トレンド」を示す記事にはならなかったが、これも実データが示す誠実な結果だ。国政選挙における無投票当選は、このサイトが持つ2009〜2026年のすべての衆院選・参院選(2022年)のデータで一度も発生しておらず、「増えている」も「減っている」も観測できない——無投票当選の増加が問題になっているのは地方選挙に固有の現象であり、国政選挙にそのまま当てはめるのは誤りだ、というのがこの記事の実データに基づく結論になる。

この記事の数値はすべて、総務省公表の候補者別・市区町村別得票や2020年国勢調査などの公的データから、当サイトが独自に集計・計算したものです。チャートも既存の描画ライブラリではなく、このサイト独自のコンポーネントで生成しています。 手法の詳細は各セクションの注記、サイト全体の前提・データの範囲・既知の制約は 計算方法ページ に集約しています。

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